夏の高校野球 コロナで出場辞退・西邑楽高校 最後の夏「ともに過ごした仲間は宝物」交流試合通じ新たな絆(22/08/17)

高校野球!

夏の高校野球群馬大会新型コロナウイルスの影響で唯一出場を辞退した西邑楽高校が今月15日対戦予定だった藤岡中央高校と交流試合を行いました。西邑楽、最後の夏を追いました。

8月11日、西邑楽高校のグランドです。4日後に控えた交流試合に備え3年生の部員が集まっていました。西邑楽は今年の夏初戦で太田工業と対戦。エースでキャプテンの大関らの活躍でタイブレークを制し初戦を突破しました。勢いに乗り2回戦へ―その矢先、主力選手の半数以上が新型コロナウイルスに感染したことが判明。チームの判断で出場辞退を決めました。

「なんとも言えない感じ、正直今でも心の整理がついていない。自分たちが出場出来たらと考えて」(西邑楽・大関龍司主将)

「3年生にとって区切りとなる試合を用意したい」柳澤監督は対戦予定だった藤岡中央高校に交流試合を申し込みました。

「我慢を強いられて、時には大人の決めたルールで理不尽な事も飲み込まざるを得ない中で生活をしてきた子たち。そういうことも含めると野球を出来る喜びを表現してほしいし、そういうゲームになったら」(西邑楽・柳澤英希監督)

舞台は同じ高崎城南球場。約1か月遅れで西邑楽と藤岡中央の最後の夏がプレーボールです。藤岡中央の先発マウンドはエースの馬場。藤岡中央も引退した3年生全員があつまりフルメンバーで交流試合に臨みました。

「シートノックやピッチングを見てこれは自分たちも本気でやらなければ失礼だなと思った」(藤岡中央・澤入湊主将)

試合はお互い一歩も譲らず9回へ。1点ビハインドの西邑楽。この回、先頭は4番でキャッチャーの伊藤。その伊藤の当たりはショートへ。執念の内野安打で出塁します。2アウト3塁。後がなくなった西邑楽。この場面で打席には7番山本。山本の当たりはセンターへ。3塁ランナーの伊藤が帰って西邑楽、土壇場で同点に追いつきます。

「山本が怪我が多くて1番苦しんでいて、最後の最後にいい結果が出てくれてうれしかった」(西邑楽・伊藤ガブリエル選手)

9回裏。4対4の同点。大関は仲間の思いを背負ってマウンドへ上がります。しかし藤岡中央のクリーンアップにヒットを打たれ1アウト3塁1塁。一打サヨナラのピンチを迎えます。ここで大関の投じた一球は…。西邑楽の夏が終わりを迎えました。

「1点取ってもらったのに抑えられなかった。自分の不甲斐なさを感じた」(西邑楽・大関龍司主将)

「負けた。高校野球は終わっちゃったんだなと感じました」(西邑楽・伊藤ガブリエル選手)

「最後は自分たちが勝ったけれど、笑顔で戻ってきたところをみると、この2年半思い切り野球をしてきたことが分かった。自分たちを最後の対戦相手に選んでくれてありがとうという気持ちと思い切り野球が楽しめてよかったです。」(藤岡中央・澤入湊主将)

試合後、最後のミーティングです。選手も監督もあふれる涙を止めることが出来ませんでした。「いい相手に恵まれていい仲間に恵まれてきょうがあったと思うからまた次の道がんばっていこう」
(西邑楽・柳澤英希監督)

泣き崩れるキャプテンに仲間がこんな言葉をかけてくれたといいます。「お前のおかげでここまでこれたと言ってくれてその言葉がすごくうれしくていつもえらそうな事言っていたのに、こんな俺についてきてくれていい奴らだし、宝物です」

コロナに翻弄された2年半でしたが「ともに過ごした仲間は宝物」交流試合を通じて新たな絆が生まれていました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA